GitHub CopilotとClaspによるGAS開発革命:NotionとGoogleカレンダーを活用したToDo管理ツールの作成をしてみた

GitHub CopilotとClaspによるGAS開発革命:NotionとGoogleカレンダーを活用したToDo管理ツールの作成をしてみた

GitHub Copilotとclaspの可能性

このブログの最後に、今回作成したNotionとGoogleカレンダーを連携させたGASをメルマガ登録特典として公開しています。ご興味ある方はご登録いただければ幸いです。

GAS開発の新たな可能性とGitHub Copilot、Claspの組み合わせの紹介

2023年12月29日にGitHubは「GitHub Copilot」のすべてのユーザーが、追加料金なしに「GitHub Copilot Chat」を利用できるようにしたと発表されたとのニュースがありました。これは、開発者コミュニティにとって大きな一歩であり、特にGoogle Apps Script(GAS)の開発において新たな可能性を開くものです。GitHub CopilotのAI支援機能とClaspのコマンドラインツールを組み合わせることで、GAS開発のプロセスを効率化し、生産性を大幅に向上させることが可能になります。

NotionとGoogleカレンダーを統合するToDo管理ツールの構想

GitHub CopilotとClaspを活用したGoogle Apps Script(GAS)開発の新たな可能性を探るため、NotionとGoogleカレンダーを統合する革新的なToDo管理ツールの構想を練りました。これまでのタスク管理方法は、紙やスプレッドシート、ドキュメントにToDoリストを記録し、Googleカレンダーでスケジュールを管理するというものでした。しかし、この方法では繰り返しのルーチン作業や都度の書き出しに多くの時間が割かれ、効率的ではありませんでした。

そこで目をつけたのがNotionです。既に作業用のメモとして活用していたNotionを、タスク管理にも応用することで、スムーズかつ効率的な作業フローを実現しようと考えました。さらに、Googleカレンダーとの連携により、スケジュール管理の自動化を図ることができると考えました。

このプロジェクトの目的は、GitHub CopilotとClaspを用いたGAS開発の可能性を検証することにあります。GitHub Copilotの提供するコード補完機能と、Claspのコマンドラインベースのデプロイメント機能を組み合わせることで、GAS開発のプロセスを効率化し、より洗練された形にすることが目標です。

具体的には、Notionでタスクデータベースを作成し、Notion APIを通じてGASと連携させることで、タスクの取得とGoogleカレンダーへのデータ登録を自動化します。このアプローチにより、タスク管理の繰り返し作業を軽減し、開発者がより重要なタスクに集中できるようになります。

この構想は、開発者が自身のワークフローを最適化し、生産性を向上させるための新しい道を切り開くものです。NotionとGoogleカレンダーの連携は、タスク管理の新しい可能性を提示し、GitHub CopilotとClaspの組み合わせによって、GAS開発の未来が大きく変わることを示しています。

GitHub Copilotとは

GitHub Copilotは、開発者がコーディング作業を効率化し、生産性を向上させるためのAI支援ツールです。以下にその歴史と機能について詳細を記載します。

GitHub Copilotの歴史と機能

GitHub Copilotの歴史

  • 発表: Wikipediaによれば、GitHub Copilotは2021年6月29日にGitHubによって発表されました。最初はVisual Studio Code開発環境でのテクニカルプレビューとして提供され、その後2021年10月29日にJetBrainsマーケットプレイスでプラグインとしてリリースされました。2021年10月27日にはGitHub Copilot Neovimプラグインが公開リポジトリとしてリリースされ、2022年3月29日にVisual Studio 2022 IDEでの利用が発表されました。2022年6月21日には、テクニカルプレビューを終了し、個人開発者向けのサブスクリプションベースのサービスとして提供開始されました。
  • 進化: GitHub Copilotは、2014年2月にリリースされたVisual Studio 2013用の「Bing Code Search」プラグインの進化版です。このプラグインは、MSDNやStackOverflowなどの様々なソースと統合され、自然言語のクエリに対して高品質で文脈に適したコードスニペットを提供していました。

GitHub Copilotの機能

  • コード補完: GitHub Copilotは、Visual Studio Code、Visual Studio、Neovim、JetBrainsなどの統合開発環境(IDE)でのコードの自動補完に役立ちます。Python、JavaScript、TypeScript、Ruby、Goなどの言語での使用に最適化されています。
  • 機能: 自然言語で提示されたプログラミング問題に対して、解決コードを生成する能力があります。コードの説明を英語で行ったり、プログラミング言語間でのコードの変換が可能です。GitHub Copilotには、コードコメントを実行可能なコードに変換する機能や、コードのチャンク、繰り返し部分、メソッドや関数全体の自動補完機能が含まれています。
  • サポート言語とプラットフォーム: GitHub Copilotは、公開リポジトリに含まれる自然言語テキストとソースコードに基づいてトレーニングされた、GitHub、OpenAI、Microsoftによって開発された生成AIモデルによって駆動されます。これにより、さまざまなプログラミング言語でのサポートが可能になっています。

詳細な情報については、GitHub Copilotの公式ウェブサイト(GitHub Copilot)を参照してください

GitHub Copilotの概念とGPT-4との違い

こちらの記事(英語) によればGitHub CopilotはMicrosoftによって開発され、主にコーディングを支援することに特化しています。一方、ChatGPTはOpenAIによって作られ、より広範な会話型AI能力を提供します。両者は高度なAIを使用していますが、それぞれ異なる特化領域があります。

以下ではこちらの記事を参考に、GitHub CopilotとGPT-4の違いをまとめてみます。

GitHub Copilot

  • 開発者: GitHub CopilotはGitHubとOpenAIによって共同開発されました。主に統合開発環境(IDE)内でのコード補完に特化しており、コード行や関数全体の提案を直接提供します。
  • 特化領域: GitHub Copilotは、Visual Studio、VS Code、Neovim、JetBrainsなどのIDE内で使用されることに重点を置いており、GitHubなどの大量のコードからトレーニングされています。これにより、大規模なコードの文脈を分析することができます。
  • 技術基盤: GitHub Copilotは、Codexと呼ばれるLLM(Large Language Model)に基づいており、これはソースコードと自然言語テキストの大規模なデータセットで微調整されています。
  • 機能: Copilotは、コードの記述、ベストプラクティスの提案、テストの生成、エラーの修正を行う新しいCopilot Chatインターフェースを追加しました。また、ライセンス制限がある既存のコードスニペットの生成リスクを減らすための新しいフィルタリング機能や、セキュリティ上の脆弱性を減らすためのAIベースの予防システムも提供しています。

GPT-4(ChatGPT)

  • 開発者: ChatGPTはOpenAIによって開発されました。一般的な言語タスクに適しており、プログラミングのワークフローを超えた幅広い質問に答えることができます。
  • 特化領域: ChatGPTは、より広範囲で複雑なタスクに適している一般目的の会話型AIプラットフォームです。自然言語処理を使用してユーザーの入力に応答します。
  • 技術基盤: ChatGPTは、人間の言語データでトレーニングされたLLMを使用しており、GitHub Copilotとは異なるアプローチをとっています。
  • 用途: ChatGPTは、より広範なタスクに適しており、より一般的な技術的なものではなく、幅広い用途での使用に適しています。

これらの違いは、それぞれのツールが目指す目的と機能に基づいています。GitHub Copilotは主にコード補完とプログラミングタスクに特化しているのに対し、ChatGPTはより幅広い会話型AIタスクに適しています。

VSCodeとの連携

GitHub Copilotは、Visual Studio Codeなどのコーディング環境にシームレスに統合され、ソフトウェア開発プロセスを強化するように設計されています。

GitHub CopilotのVisual Studio Code(VSCode)との連携については、以下のポイントが挙げられます:

  1. VSCodeでの利用: GitHub CopilotはVSCodeの拡張機能として利用でき、コードの生成、生成されたコードからの学習、さらにエディターの設定変更などを支援します。
  2. 言語とフレームワークのサポート: さまざまな言語やフレームワークに対応しており、特にPython、JavaScript、TypeScript、Ruby、Go、C#、C++などでの使用に最適化されています。
  3. インライン提案: コードを書く際、GitHub Copilotは自動的に提案を提示します。これには3つのステップがあり、コードを書き始めると、Copilotは灰色のゴーストテキスト(消えるテキスト)を表示し、それを入力または選択することでコードを効率的に書くことができます。
  4. チャット機能: インライン提案に加えて、Copilotではチャットインターフェースを通じたアシスタンスも提供されます。これには「チャットビュー」、「インラインチャット」、「クイックチャット」などがあり、追加のGitHub Copilot Chat拡張機能をインストールすることで利用できます。

これらの機能により、VSCodeを使用する開発者はGitHub Copilotを通じてコード作成の効率化や、よりスマートな開発を実現できます。詳細については、Visual Studio Codeの公式ウェブサイトを参照してください。

多様な使用可能性

GitHub Copilotは、GitHubから公開されている広範なコードのコーパスでトレーニングされており、コード生成とプログラミング言語の理解に特化しています。AIペアプログラマーとして機能し、コードの提案、構文の支援、プログラミングコンテキストの理解を行います。以下にその使用例と能力について詳しく説明します。GitHubの公式ブログ記事「8 things you didn’t know you could do with GitHub Copilot」を参考に、以下まとめてみます。

  1. AIペアプログラマーとしての機能: GitHub Copilotは、プロジェクトの文脈やスタイルの慣習に基づいてコードの補完提案を共有し、開発者の作業速度と自信を向上させます。これは、プログラマーと共に動作し、コードの提案やプログラミングコンテキストの理解を支援します。
  2. コード変換と提案: OpenAI Codexという機械学習モデルを用いて、自然言語をコードに変換し、個々の行や全体の関数を提案することができます。
  3. 非英語話者の支援: GitHub Copilotは英語以外の言語も理解でき、異なる背景を持つ開発者にとって有用です。例えば、CSSのプロパティ color がアメリカ英語に基づいているため、イギリス英語やカナダ英語を母国語とする人にとっては不慣れかもしれませんが、GitHub Copilotはこのようなケースでも支援が可能です。
  4. データの辞書作成: GitHub Copilotは、二文字のISO国コードとその国名から成る辞書の作成など、ルックアップデータの辞書作成にも優れています。
  5. コードのテスト: 単体テストやビジュアル回帰テストなど、ソフトウェア開発プロセスで重要なテストの作成を加速することができます。
  6. 正規表現によるパターンマッチング: GitHub Copilotは、正規表現を使用して文字列内の文字組み合わせにマッチすることができ、これにより開発者はより効率的に作業できます。
  7. 技術面接の準備: 一見非伝統的かもしれませんが、開発者はGitHub Copilotを使用して技術面接の準備をすることもできます。
  8. ツイートの送信: IDEを介してツイートを送信するためにもGitHub Copilotを使用できます。例えば、PythonでTwitter API v2を使用するデモンストレーション中に、必要なコードを生成するためにGitHub Copilotが役立ちました。
  9. Vimからの脱出: Vimを初めて使用する開発者にとって、エディタからの脱出方法を学ぶのは一般的な問題です。GitHub Copilotは、Visual Studio Code、JetBrains、Neovimなどで利用可能で、Vimからの脱出にも役立ちます。
  10. 新しいコードベースのナビゲーション: GitHub Copilot Labsは、別のプログラミング言語にコードを翻訳したり、コードスニペットのステップバイステップの説明を得るために使用できます。これにより、開発者は新しいコードベースの理解を深めるのに役立ちます

これらの多様な使用例は、GitHub Copilotがプログラミング言語の理解とコード生成に特化していることを示しています。AIペアプログラマーとして、GitHub Copilotはコードの提案、構文の支援、プログラミングコンテキストの理解を行うことで、開発者のコーディング作業を助け、効率化を図っています。

GitHub Copilotの料金体系

各プランと料金について

2024年1月4日現在、GitHub Copilotの料金体系については、以下のプランと料金が設定されています:

  • GitHub Copilot Individual:
    • 月額プラン: $10 USD/月
    • 年間プラン: $100 USD/年
    • 利用者はいつでも月額プランと年間プランの間で切り替えることができます。料金の変更は次の請求サイクルの開始時に適用されます。新規にサインアップした場合、請求サイクルはサインアップ日から始まります。例えば、9月3日にサインアップした場合、月額プランの初回請求サイクルは9月3日から10月2日までとなり、その後毎月同日に請求されます。年間プランの場合、初回請求サイクルは翌年の9月2日までです。
  • 無料トライアルと学生・教師への無料サブスクリプション:
    • 無料トライアル: 新規利用者は30日間の無料トライアルを設定できます。トライアル期間中に解約しない場合、自動的に有料サブスクリプションに変換されます。
    • 学生・教師向け: GitHub Copilotは、GitHubで確認済みの学生、教師、人気のオープンソースリポジトリのメンテナに無料で提供されます。学生は、GitHub Student Developer Packを受け取っている場合、無料サブスクリプションが提供されます。
  • GitHub Copilot Business:
    • 料金: $19 USD/ユーザー/月
    • GitHub Copilot Businessサブスクリプションは月額プランで提供され、各請求サイクルの終了時に請求が行われます。

これらの情報は、GitHub Copilotの公式ドキュメントで詳しく確認できます。

GitHub Copilotを使う理由

GitHub Copilotは、開発者の作業を効率化し、生産性を向上させるための強力なツールです。その導入により、開発者は特に繰り返し行う作業を高速化し、コードの質を向上させることができます。GitHub Copilotを活用することで、時間の節約だけでなく、コーディングにおける満足度も高まります。

生産性の向上と時間の節約

GitHub CopilotのBlogによれば、GitHub Copilotの導入後、GitHub Nextチームは、開発者の生産性と満足度に与える影響を調査しました。その結果、開発者はGitHub Copilotを使用することで、特に繰り返し行う作業の完了が速くなると報告しています。具体的には、GitHub Copilotを使用した開発者は、使用しないグループに比べてタスクを平均して55%速く完了しました。

同じくGitHub Copilotの別のBlogからは、GitHub Copilotとそのチャットボット機能は、コードの質を向上させ、コードレビューに要する時間を短縮し、ユニットテストに合格するコードを生成することが期待されています。85%の開発者が、GitHub CopilotとCopilot Chatを使用してコードを作成する際に、コードの質に自信を持っていました。GitHub Copilotを使うと、開発者は繰り返し作業を高速化し、昨年の研究ではGitHub Copilotを使用する開発者がコードを55%速く書くことが明らかになっています。

様々な価値創造の可能性

GitHub CopilotのBlogによれば、このツールは開発者の仕事に対する満足感を高め、コーディング時のストレスを軽減し、より満足のいく作業に集中できるようになると報告されています。また、GitHub Copilotの使用は、退屈な繰り返し作業から解放され、より複雑で重要な問題解決に集中できるようになることから、開発者の認知的負荷を減らし、より意味のある作業を楽しむことができるようになるとされています。

こちらの研究では、GitHub Copilotを使用することで、開発者はより集中し、フラストレーションを感じにくく、コーディングをより楽しむことができ、88%の開発者がフロー状態を維持できていると報告しました。GitHub Copilot Chatを使用すると、コードレビューがより実行可能で、15%速く完了すると報告されています。

GitHub Copilotは、開発者がより高速かつ効率的に作業を進めるのを助けるだけでなく、コードの質にも肯定的な影響を与えます。55%の作業高速化、コードレビューの時間短縮、ユニットテストの合格率向上など、具体的な数値に裏打ちされた効果があります。さらに、88%の開発者が集中力を保ち、コーディングを楽しむことができると感じています。これらの点から、GitHub Copilotは開発者の生産性を高め、コーディングにおける満足感を向上させる重要なツールであることが明らかです。

GitHub Copilotの使い方

GitHub Copilotの基本的な使用方法

GitHub Copilotの使い方に関しては、以下のステップとコマンドが基本的な使用方法です。

  1. GitHub Copilotの提案の表示:
    • GitHub Copilotは多くの言語やフレームワークに対応しています。特にPython、JavaScript、TypeScript、Ruby、Go、C#、C++での使用に最適化されています。
    • コードを入力し始めると、GitHub Copilotは灰色のテキストでクラス本体や関数本体の提案を自動的に表示します。
    • 提案を受け入れるには「Tab」キーを押します。
    • 任意の入力に対して、GitHub Copilotは複数の提案を提供することがあります。どの提案を使用するかを選択するか、すべての提案を拒否することができます。
  2. コメントからのコード提案の生成:
    • コメント内で自然言語を使用して行いたいことを記述すると、GitHub Copilotはその目的を達成するためのコードを提案します。
  3. GitHub Copilotの有効化と無効化:
    • すべての言語または個々の言語に対してGitHub Copilotを有効化または無効化することができます。GitHub CopilotのステータスアイコンがIDEの下部パネルに表示され、有効化されている場合はハイライトされ、無効化されている場合はグレーアウトされます。
  4. Visual Studioとの連携:
    • Visual Studio内でGitHub Copilotの提案を直接表示し、取り込むことができます。
  5. Visual Studio Codeとの連携:
    • Visual Studio Code内でGitHub Copilotの提案を直接表示し、取り込むことができます。
  6. Visual Studio CodeでのGitHub Copilot拡張機能のインストール:
    • Visual Studio Code MarketplaceでGitHub Copilot拡張機能ページにアクセスし、「Install」をクリックしてインストールします。
  7. フレームワークの使用:
    • GitHub Copilotは、APIやフレームワークに対する提案の生成にも使用できます。例えば、シンプルなExpressサーバーを作成するための実装を提案することができます。

GitHub Copilotの詳細な使用方法については、GitHubの公式ドキュメントで確認できます。

事例:GitHub CopilotをGoogle Apps Script開発に活かす

以上にみてきたように、GitHub Copilotはプログラミングの生産性を向上させる非常に強力なツールです。これをGAS開発にも活かさない理由はありません。ところで、claspは、Google Apps Script(GAS)のプロジェクトをコマンドラインでデプロイできるようにするツールです。コマンドラインで動かせるということは、VSCodeで動かすことができるようになるということであり、すなわちGitHub Copilotを使いながら開発をすることができるというわけです。clasp自体は以前からあり、Git管理が用意になるなど一定の利点があるものの個人開発主体である私にとってそれほど利便性を感じられるシーンが多くなかったため、これまであまり活用してきませんでした。しかしながら、GitHub Copilotの登場によって、GitHub Copilotがコーディングをする上ではなくてはならない存在になったため、GAS開発においても利用しようとなったわけです。

claspの基本的な導入方法についてはこちらの記事を参考にしていただければと思います。

実際にどのくらい劇的に開発が変わったのかは次のセクションでお話します。

実践編:NotionとGoogleカレンダーを統合したToDo管理ツールの開発

プロジェクトの概要

GitHub CopilotとClaspを用いたGoogle Apps Script(GAS)の開発の変革を試みるため(開発にどのようなインパクトがあるかを検証するため)、一案としてタスク管理システムを一新するプロジェクトを行ってみることにしました。従来は紙やスプレッドシート、ドキュメントにToDoを記録し、Googleカレンダーでスケジュールを管理する方法を取っていましたが、この手法では繰り返し作業や都度の書き出しが煩雑でした。そこで、すでに作業用メモとして活用していたNotionをタスク管理にも取り入れ、Googleカレンダーとの連携を図ることにしました。

大まかな構成としては、1)Notionでタスク用のデータベースを作成し個別のルーチンタスクをrepeating database templatesを活用して繰り返しタスクとして生成する。2)毎日日付更新などのタイミングでGAS側からNotionデータベースにアクセスしてタスクを取得する。3)取得したタスクの締切日および開始時間と終了時間(開始時間+作業時間/工数)をみてGoogleカレンダーに予定を登録する、という流れになります。

開発プロセスの詳細

  1. Notionでのタスクデータベースの作成
    1. あまりNotionでのタスク管理に詳しくなかったのですが、調べてみるとデータベースを使うのがよいということがわかりました。(参考
    2. 今回のプロジェクトでは以下のデータベース項目にしました。

カラム名

タイプ

内容

Status

Status

タスクのステータス(例: Not started, In progress, Done)

Category

Multi-select

タスクのカテゴリ(例:Dev, Sales, Private)

Task name

Title

タスクの名称

Due

Date

タスクの締切日(yyyy/mm/ddとして使う)

AddTime

Text

タスクの開始時間(hh:mmとして使う)

Duration

Number

タスクの作業時間/工数

厳密には上記以外にParent-taskとSub-tasksやAssigneeなど自動生成されるものがありますが、個人のタスク管理用ということもあり上記では割愛しています(実際には項目としては存在しています)。

  1. Notionでの各タスクをrepeating database templates登録するプリファレンスの追加: タスク管理に必要な設定を追加しました。
    1. Notionにはdatabase templatesなる機能があります。例えば繰り返し使う議事録(アジェンダ)とか日報なんかをテンプレートとして使えるみたいなイメージですね。
    2. そして、このdatabase templatesを毎日や毎週など定期的に自動生成してくれるのがrepeating database templatesというわけです。
    3. ルーチン的なタスクをこのrepeating database templatesとして登録することで、毎日とか毎週火曜日と金曜日に新しくタスクとして設定できるというわけです。
  2. NotionのAPI化: GASとの連携を実現するために、NotionデータベースをAPI化しました。
    1. データベースのAPI化する流れについては、こちらこちらこちらを参考にいたしました。
    2. 公式ガイド公式リファレンも参考にさせていただきました。
    3. また、完了したタスクの削除の仕方が分からなかったのですが、削除ではなくページのプロパティについてarchivedをtrueにすることで対応することができるようでした。
  3. GAS開発: Notionからデータを取得し、Googleカレンダーに登録する機能を開発しました。
    1. ここからがGitHub CopilotとClaspを使った開発の真骨頂となります。
    2. ローカルでclasp用のディレクトリを作成します。
    3. GitHub Copiloには今回主に以下のことをお願いしました。
      1. Notionからデータを取得するサンプルコードを書いてもらう
        1. ほぼそのまま使えるコードを出力してくれます。
        2. NotionのTokenとDatabaseIDをコピペしてほぼ終了
      2. NotionとGoogleカレンダーを同期させる機能のサンプルコードを書いてもらう
        1. Notionからデータを取得してGoogleカレンダーに予定を登録してもらうコードを書いてもらう
        2. これもほぼそのまま使えるコードを出力してくれました
      3. 完了したタスクをNotionでアーカイブする機能のサンプルコードを書いてもらう
        1. Notionからデータ取得したタスクでStatusがDone(完了)になっている場合、Notionデータベースへ更新をかけて該当タスクをArchiveする
        2. これもほぼそのまま使えるコードを出力してくれます
      4. テスト用に今日のGoogleカレンダーの予定を削除する関数のサンプルコードを書いてもらう
        1. 一連のテストで何回かGoogleカレンダーに予定が反映され都度削除が面倒になったので、このコードを書いてもらいました
        2. ほぼそのまま使えるコードでした
  4. 日付対応のための設定追加: 時間差分と工数の項目を追加しました。
    1. 今回のプロジェクトでどうしたものだろう?と頭を捻ったのが、カレンダーの開始時間を設定する部分です。こちらの記事にあるように、Notionのデータベースの日付設定は時間までの指定ができません。そのため、repeatable database templateで作成された日付プロパティは時間指定のないその日といった指定になってしまいます。これだけだとGoogleカレンダーでの開始時間が指定できないわけです。新規作成を使うとか色々方法はあるのですが、最終的にはDueはその日、そしてAddTimeなるプロパティを設けてhh:mmの文字列で開始時刻を表し、durationで作業時間/工数とし、AddTime+durationを終了時刻という形にしました。タイムゾーンはNotionもGASも東京に合わせました。
  5. テスト: 開発した機能のテストを行いました。
    1. 4-5と平行しながらあーだーこーだしながらテストしました。
  6. GASのトリガー設定: システムが自動で動作するようトリガーを設定しました。
    1. Notionでのデータベース更新タイミングを日付変更時点にしたので、余裕をもって午前1時とか午前2時開始にしてみました。

結局のところ、Notionに詳しくなかったということもあり、一番時間がかかったのはNotionの仕様の把握でした。実際にコードを書いた時間はGitHub Copilotをフル活用できたこともあり、全体の時間の5〜10%くらいだったんじゃないかと思います。GitHub Copilotを使っていなければ、実はGoogleカレンダーのGASは大分久しぶりだったので、思い出したり探したりという時間が必要なので2〜2.5倍くらいはかかったかもしれません。というわけで、GitHub CopilotのBlogにあるように開発効率が2倍くらいになるというのは体感としては納得の結果です。とりあえずサンプルコードを書いてくれるというのがとても大きいですね。

まとめると、このプロジェクトを通じて、NotionとGoogleカレンダーの連携により、タスク管理の効率化と自動化を実現しました。GitHub CopilotとClaspの活用により、GAS開発のスピードと品質が大幅に向上し、新たな可能性を感じることができました。

まとめ

このブログでは、GitHub CopilotとClaspを用いたGoogle Apps Script(GAS)開発の新しい可能性について詳しく説明しました。特に、NotionとGoogleカレンダーを統合したToDo管理ツールの開発を例に、これらのツールがいかに開発プロセスを変革し、効率を大幅に向上させるかを実証しました。

GitHub CopilotのAI支援機能とClaspのデプロイメント機能の組み合わせは、特に繰り返し作業や都度の書き出しといった面倒なタスクの時間を削減しました。具体的には、Notionでのタスクデータベースの構築からGoogleカレンダーとのデータ同期まで、各ステップを効率化し、タスク管理プロセスを自動化しました。

さらに、GitHub Copilotの提供するコード補完機能や、Claspのコマンドラインベースのデプロイメント機能などの利点を活かし、開発者はより重要なタスクに集中できるようになりました。これにより、開発のスピードと品質が大幅に向上し、新たな可能性が開かれました。

全体として、GitHub CopilotとClaspの組み合わせは、GAS開発における生産性の向上、タスク管理の効率化、開発プロセスの自動化など、多くの価値を提供します。これらのツールがもたらす革新的な変化は、開発者のワークフローを最適化し、よりスマートで効率的な開発環境を実現することでしょう。

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